《MUMEI》
相談事
「橘っ!」

「おう、桐生。来てくれてありがとな」

「彩原とのことで悩み相談か?良いぞー、どんと来い!!」


軽い調子で言う桐生だが私達のことを結構心配してくれているのは一目見てすぐわかった。
そんな桐生を見て私はさっそく本題に入った。



「あのさ…彩原が言ってたんだけど、普通は友達のこと知りたがるもんなのか?」

「は…?当たり前だろ」



(やっぱりそうなのか…)


誰もが知る当たり前のことを、私は知らなかった。

友達がいなかったから…



「そっか…やっぱ僕、彩原が言ってた通り冷たい奴なのかも」

「はあ!?アイツ、お前にんなこと言ったのか?一体なんで…」

「僕、桐生と友達になってから桐生の内側に入り込むことがなかったろ?僕なりに普通に接してただけなのに冷たいって言われて…」


自分で言ってて段々へこんできた。
いくら頭良くても、人と接するのが苦手じゃな…

そう思った瞬間、桐生が平然とした顔で私を見て言った。


「それは仕方ないんじゃね?橘、前に友達いなかったって言ってたし、お前なりに普通にしてくれるなら俺は別に構わないけど」


「………!」


「無理して誰かの内側に入らなくても、少しずつ打ち解けていけばいいよ」


「桐生……」



無理して内側に入らなくても……か。

確かにそうだよな。



私は私なりに、少しずつ歩み寄ればいいんだよね。




「ありがと、桐生。心の中のモヤモヤがなくなったよ。」


素直にそう言って安堵の笑みを浮かべると、桐生の顔が段々と赤く染まっていった。


「な…っ!なんだよ、珍しく素直じゃねぇか…」



…もしかして、私が素直にお礼言ったから照れてるのか?

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