《MUMEI》

「椿、エレベーターには乗らないか」


「うん、桜さんの荷物届けるよう理事長に言われたんだけど…無理そう」




…あ…



私がいるからか。




「荷物貸せ」




そう言うなり、
蓮華くんは椿さんが
エレベーター前に
置いていった荷物を
軽々と持ち上げた。



「ごめんね…後はよろしくね、白くん」




泣きそうな顔で
こっちを見つめる椿さん


荷物を持ち上げる際も、開のボタンをずっと
押していた蓮華くんは
ボタンから手を離した。









無愛想なのは変わらない



けど、
さっき美鞠さんが
言ってた通り
根は悪い人じゃないかも






だって、

未だに自らの意見は
言わないけど、
こうやって
文句ひとつ言わずに
荷物を運んでくれたり
私を案内してくれたり
するから。




ちょっとナゾな人だけど
仲良くなれたらいいな










と思っている間に
エレベーターは五階に
着いた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫