《MUMEI》

紅薔薇さんと一緒に
荷物を片付けた日の夜。


私は独り勉強していた。



「ふう…おしまい!」



理事長からやるように
言われていた分の
宿題を終わらせ、
一息ついていたそのとき






「さくらん!いる〜?」



勉強机の前にある
カーテンの向こうから
美鞠さんの声がした。


「えっ…玄関あっちだよね?」



なんでここから
美鞠さんの声が聞こえる
んだろう……







シャッと音をたてて
カーテンを開けると、
そこには
窓に張り付いた美鞠さんの顔があった。



「みっ…美鞠さん!?」



一瞬焦ったが、
すぐに平常心を
取り戻した。


「ここ五階ですよ?大丈夫なんですか?」


「大丈夫大丈夫〜!てか、驚かないね〜」


「びっくりはしましたが……で、何の用です?」


「今から一階のラウンジに来て!待ってるからね♪」

「あっ、ちょっ……」




美鞠さんは去っていった







「一階ラウンジ…?」



何があるんだろう…

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