《MUMEI》

あまりにも色々と急すぎだし
ばあやの行方もはっきり解らないし…

薄々おかしいと勘づいてはいたが
やはりそんな裏が……

不意に訪れた衝撃に考えこまずにいられない

―――――


二人の間に沈黙が流れる


「――ホントはさ…」

沈黙を破ったのは龍。


未だに彼に肩を掴まれたまま
真っ直ぐに注がれる視線に思わず目を逸らす


「…ホントは――
まだお嬢さんに手出したらダメなんだよな」


「―――え…??」


龍の右手が肩から離れて
ひんやりした指が私の唇をなぞる

「一応そういう任務な訳だけどな…
まだお嬢さんだっていくらなんでも
いきなりじゃ慣れないだろうって…
だからホントはまだ手出したらダメなんだよ」


「――でも、龍…出してるよ…?///」

そうだ。
私、全裸なんだよ。今。

もう十分手出してるじゃない。


「――っ///」

ほんのり赤くなる龍。

こんなオラオラしてるやつも赤面するのね
男って…よく解らないなあ

そんなことを考えていると龍が口を開く


「…俺も一応、執事のはしくれだしな。
むやみに雇い主に逆らいたくねえよ。

でもお嬢さんの執事が俺と兄貴の二人ってことは、
いずれ兄貴もお嬢さんに…

――って考えたら俺止まんなかった

ははっ…ガキだよな。
お嬢さんを独り占めしたくてよ…。」


「―――ガキなんかじゃないよ…?」

私は思わず龍を見つめる

男性にそんな風に言われたことが
ないからかもしれないが龍の言葉は
照れ臭いが、嬉しかった

「龍の気持ち…嬉しいよ?///」

私も顔が赤くなる

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