《MUMEI》
平和な日々
「ふあ〜…おはよー橘」

「おはよう桐生。今日からまた学校だってのに、だらしないなぁ」

「夏休み明けはいつもこんなだよ…ふあ〜……」

「ふあ……っおい、あくび移るから止めろ!」

「おはよう二人共!何あくびし合ってるんだ?」



今日は始業式。
これから二学期が始まるというのに、桐生はだらしなくあくびをしていた。
それに引き換え彩原は、あくびをするでもなくいつも通りだった。



「桐生、彩原を見習え!」

「なんだよ〜、眠気がひどいだけだろ」

「まあまあ二人共、始業式遅れるよ、急ごう!」


そう言うと、彩原は先に体育館へ走り出した。

「待てよ、彩原!」


彩原の背中を追うようにして私と桐生も走り出す。




ああ、なんて平和なんだ


ついこの間まで、バイトしたり彩原とケンカしたりしてたのが遠い過去のように思えてしまう。


だが、桐生と彩原と仲良くなってからというもの…

ますます友達というものがわからなくなっていた。



「なあ橘、来週テストあるよな?」

「そうだな。それがどうした?」

「皆ででテスト勉強しないか?」

「おっ、たまには良いこと言うね〜桐生」

「おい彩原…たまにはってなんだよ、たまにはって!?」

「えっ、ちょっ……」

「まあ、皆集まってテス勉っていうのも良いんじゃないかな」

「よっし、決まり〜!」

「あの、僕の意見は…」

「じゃあ、学校前の図書館で待ち合わせな!」

「ん、わかった」

「いやだから、僕の意見は……」



キーンコーンカーン…



私が桐生に弁明しようとしたそのとき、タイミング悪くチャイムが鳴り、校長先生が入って来た。



ガーッ、

『あ、あー、マイクのテスト中…』


マイクテストが終わり、校長先生の挨拶が始まった


あああ…!桐生達にさっきの話の続きしたかったのに!!

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