《MUMEI》
Sの視点
あと、1時間弱か…。
もうそろそろ、戻らないとバスが出発しちゃう。


バスに戻ると、Tくんと先輩の間が席1つ分空いている。



「なぁ、S。こいつが俺との間にお前を座らせたいんだと」

…。
間に!?
それは、Tくんと密着率100%ですよ!?
1時間も持ちませんよ!?

「S、座って?」
Tくんの隣の先輩がいう。
「は、はい…。」

私はTくんと先輩の間に座った。

…。
ドキドキしてる…。

ふと、Tくんを見ると、落ち着かない様子。

「なぁ、S。お前ラインしてる?」

先輩が聞いてきた。
「してますけど?」
「俺と交換しようぜ?」
「いいですよ。」

と、私は先輩とラインを交換した。

ずっと、Tくんは話さないまま。

…。

「俺、目的達成したし、寝るわ。お休み〜」

…。
なんて勝手な先輩なんだろう…。

ホントに寝てしまった。

思いきってみよ。

「Tくん?」

「な、なした?」

「どうして、私を間に座わらせたの?」

「今、寝たやつに聞いてくれ…。俺はわからん。」

「そうなんだ〜…。」

はい。会話終了!
なんか、とてつもなく気まずい。

ドキドキも止まらないし…。

よし、寝よう。
そしたら、ドキドキも気まずい気持ちもなくなって、気づけば目的地だ。


…ヲ
……ヲ

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