《MUMEI》 (あれ…?) ドキン…… (なんで私、顔赤いんだろう?) さっき見た桐生の顔が、頭から離れない…きっとそのせいで私まで赤くなったんだ。 きっと…そのせい…… 私は、やっとの思いで顔の火照りを治し、部屋に入って自分が座っていた席に戻るが、桐生と何度も目が合ってしまって勉強に集中できなかった。様子を察するに、桐生も同じのようだった。 (はあ…ちゃんと謝れたと思ったら、また何かややこしい事態に陥ってないか?) どうか杞憂であってほしい。彩原も、目が合ってはすぐ反らすの繰り返しな私達を見てハラハラしている様子だし、またさっきみたいなことになるのは私も嫌だし…… ケンカ(?)は収まったが桐生と私の間にはちょっと変な空気が漂っていた。 (まさか、熱でも出たのか?) そう言えば、ここに来る前まで緊張しっぱなしだったし、そのせいで熱が出たのかも!昔から私、緊張し過ぎると熱出してたしな… そんなことを考えながら真面目にカリカリとシャーペンを走らせて勉強に励む。…と、シャーペンの芯が残り少なくなってしまったため、筆箱に入ってる芯を取り出そうと中を探る。 (あれ、ない…) 筆箱の中をいくら探っても芯は出てこなかった。どうやら、家を出る前に確認し忘れていたようだ。 (彩原は鉛筆で書くから芯は持ってないよな) ぎくしゃくしながらも、私は桐生にシャーペンの芯をいくつか貰うことにした。 「なあ桐生、シャー芯貰いたいんだけど、いいか?」 「お、おう、筆箱の中に入ってるから勝手に持ってっていいぞ」 桐生も私とは目を合わさずに桐生自身の筆箱を指差した。私もまともに桐生に目をやることができず、「うん」と頷き 桐生の筆箱の中から芯を取り出す。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |