《MUMEI》

1、やはり無視する。

2、とりあえず挨拶。



……

…………


面倒事は増やしたくないわね…

そこで私は選択肢・2を選んだ。


「…おはよう、戸田くん」


口角をゆっくり上げ、両端を結びニコッと笑って挨拶した。


「………」



すると、戸田くんや周りの人々が私の方をじっと見つめている。
…作り笑いが下手だったかしら?


すると、男子数人が私に向かってボソリと言った。



「笑うと可愛いんじゃん…」

「てか、元々美人だったもんな」



あら、さして嬉しくもない言葉をありがとう。

…男子がこんなこと言うくらいだし、作り笑いは大丈夫なようね。



「戸田くん、お昼一緒に食べない?」


私は戸田くんに目をやり、口角を上げたまま話す。


「え…別にいいけど…」

「ん、じゃあ決まりね」


女子のイタイ視線と戸田くん以外の男子の不思議そうな目が向けられる中、私は戸田くんに手を振り自分の席に戻る。


(とりあえず…なるべく私に関わらないように、オブラートに包んで言おう)


私の真の目的はそれだった。やがて担任の教師が来てホームルームが始まる。



「皆、席につけ〜」


ガタガタッと音をたてながら席につくクラスメート達。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫