《MUMEI》
夢の終わりは儚くて
「…嬢様…晴お嬢様!」


使用人に起こされ、私は目が覚めた。


「ん…花香さん、今何時?」

「夜の9時ですよ!お嬢様ったら、お友達の方々がいらっしゃったらすぐ爆睡しちゃって……」

「友達……?あっ!!」



私は使用人に桐生達のことを素早く聞いた。


「あいつらは!?」

「もうとっくにお帰りになりましたよ」


(……)



(…そっか…そうだよな)



こんな時間までいるわけがないよな…

と、使用人が私に不意に聞いてきた。


「お嬢様…大丈夫ですか?寂しそうでいらっしゃるご様子ですけど……」

「な…なんでもない!それより、お腹空いたなぁ!お粥とかある?」

「はい、今ご用意致しますね。少々お待ち下さい」



使用人は部屋から出ていき、お粥を作るように料理人に伝えに行った。


(花香さんにも解るぐらい私、寂しそうな顔してたのか…)


慌てて話題をそらしたけど…まあ、確かに寂しさはあるかな。
………ずっと忘れてたのになぁ…こんな感情。


私は、桐生が座ったベッドの隅っこをゆっくり右手でなぞる。大分時間が経っているからか、座ったはずの場所が冷たくなっていた。


(…あれは、幸せな夢だったんだな)


だったら、もし存在するならこの世の神様はひどいな。こんな…残酷な夢…
涙が出そうなくらい、悲しい夢…


「寂しい…傍にいて…」


気が付くと、本音が漏れていた。



ピリリリッ



と、その時メールがきた
そのメールは、桐生からのものだった。


「なんだよ、こんなときに…」


本当、いつもいつもタイミング悪いんだから…

そう思いつつ携帯を開き、メールの内容を見る。

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