《MUMEI》 「そう言うなって。」 司はガックリと気落ちした洋平の肩に手を置く。 「まずは、お前にもこの文章を読んで貰いたかっただけだ。」 「だけって…。」 刻一刻を争うかもしれないこの非常自体に、何を悠長に喋っているのか… 洋平の中で司に対する不満が募る。 「読んだけどさ、たいした事書いてないじゃん…」 「でも、俺達が知らなかった情報もある。」 「はぁ?どこに?全部俺らが身をもって体験したことばかりだろ!?」 司にキレたところで、それは的外れな事だと分かっているが、解決策があると期待していた分、思わず怒りがあらわになってしまった。 洋平のいきなりの罵声に、美樹と優香は身体をビクつかせる。 しかし司は冷静だった。 「例えばここ…。」 司は、洋平の肩に置いていた手にグッと力を込めて、まるで落ち着けと言わんばかりの低い声で、静かに言った。 「この“身体を探しにきた”ってどういう意味だと思う?」 そして画面にそう書かれた部分を指でなぞりながら、洋平と後の二人にも問う。 「さぁ…?」 美樹と優香は二人揃って首を横に振る。 もちろん、洋平も知る筈がない。 「お前は分かんのかよ?」 「いや…まだわからない。」 司も首を横に振った。 前へ |次へ |
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