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《MUMEI》 「わかりました…」 俺は観念して その役割を了承した。 「ありがと♪」 上機嫌で理事長は 電話をきった。 「はぁ…」 あいつ…少しは まともなやつかと 思ったけど、 さらなる問題を 持ち込んできただけかよ 桜に対し、イライラが 止まらない俺は ラウンジの方を見て、 誰もいないことに 気付いた。 …もうお開きか。 俺は一安心して、 エレベーターで 屋上に向かった。 少し外の空気を吸って イライラを鎮めようと 行動したのだが… 屋上に着くとそこには 今一番見たくない人物が いつもいる特等席に 座って 溜め息をついていた。 「あっ、白くん…？」 暗くて見えなかったが 声でわかった。 「…なんでアンタがいるんだよ」 思わず溜め息混じりに 言ってしまった。 桜は傷ついたような顔を している。 慌ててこの場を 離れようとする桜の 横顔は、今にも 泣きそうだった。 暗闇の中、何故か その顔だけはハッキリと 見えた。 「ま…待てよ！」 桜の泣きそうな顔を 見た瞬間、俺は 体が勝手に動いていた。 前へ |次へ |
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