《MUMEI》

俺は痛い目に
あいたくないため
電話に出た。



「もしもし、またなんですか?理事長」


「ちょっと、何桜を独りにしてんのよ!?」




……なんで知ってるんだ

そしてマジで
俺を監視してるのか…




「言いたいことは色々ありますが、まあ良いです…てか、独りにしちゃいけないんですか?」


「あの子可愛いから、すぐ狼に食べられちゃうわ!!」


「…………」





ああ…ただの親バカか。



「大丈夫ですよ。今ごろ部屋に戻ってるでしょうし」


「なによーその言いぐさ、まさかアンタ桜食べる気!?」


「なんでそうなるんですか!?物理的に食べられないでしょう!!」


「アンタも変にクソ真面目ね…ってそうじゃなくて、私が言いたいのは桜を女として見てるかってこと!」




女として?

…それってまさか…



「違いますから!!」



俺は全力で否定した。


「あいつをそんな風に見るなんてありえないです!!」


「…まあ、アンタならそう言ってくれると思ったわ。アンタ、独りでいたいって言って花園寮に入ったんだものね」




あわてふためいていた
はずが、その言葉で
俺は正気に戻った。

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