《MUMEI》

「…そうですよ。俺は、アイツと鉢合わせしたくないからこの寮に入ったんです」




ひどく冷たい声で
言っているのが
自分でもわかる。



「アイツって…実の兄に対して言う言葉?」


「…あんなやつ、兄でもなんでもないですよ」



俺の脳裏に浮かぶ
思いだしたくない顔

その顔は、悪魔みたいに
ほくそ笑んでいた。



…いかん、思いだすな。




「まあ桜以外の事情はどうでもいいわ。それより!役目はちゃんと果たしてよね!!」



ブツンッと
電話を切られた。


あそこまで言われては
桜の面倒を見るしかない



「はあ…今日は散々な日だな…」




面倒事は舞い込むわ、
理事長に脅迫されるわ、
嫌なことは思いだすわ…






駄目だ、風呂入って
さっさと寝よ…
もう考えらんねぇ。




俺は自室の風呂に
向かい、シャワーを
浴びる。


そして風呂から
あがると、何も考えずに
ベッドに横になった。






……そういや、
桜の事情って何だろ…




ぽつりと思った瞬間、
俺は眠りについた。

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