《MUMEI》 あの頃「それじゃあ何が目的だったんですか」 「……………なぁ疑問は尽きないと思うが、里緒が考えないといけないことはそこじゃないだろ。高科が犯人じゃないってのが間違っていると思ってるのか」 「いえ、山本さんがそう思うなら私もそうだと思います。別に疑ってる訳じゃないです。ただ知りたいだけです」 「俺も全てを理解している訳じゃないんだ。分かるだろ。真実を知っているのは高科本人だけなんだ。真実を知りたいのであれば、高科が生きて行ける方法を探すことが先決じゃないか。里緒はそれを考えてくれよ。俺はもう少し資料を読んで何か見落としがないか、探してみるから」 「………嫌です」 「…………………里緒?………」 「山本さんも私と一緒に考えてくれないと嫌です」 「………里緒……俺は高科が犯人じゃないと気付いた時…」 「一緒じゃないと嫌です」 「俺にはそんな資…」 「一緒じゃないと嫌です」 私はことごとく山本の話しを遮った。 −−ははは、何やってんだろ私、これじゃあ泣いてばかりいたあの頃と変わらないじゃないか。 前へ |次へ |
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