《MUMEI》
獣性 〜龍〜
―――カラカラッ

浴場の扉が龍によって開かれる


――ペタッ…ペタッ…ペタッ…

龍が私を運んで行く

やがてシャワーの前にある椅子に座らされ
漸くお姫様抱っこから解放された


「…どうするつもりよ。警察呼ぶわよ」

そうやって虚勢を張りながらなお
身体が火照ったままなのは
浴場の熱気と湯気によるものなのか
…それとも…

「いいじゃん。
もう俺がお嬢さんに気使う必要
ねえみてえだしな?」

そう言って龍はまたフッと笑う


よく見れば龍、かなり鍛えているのだろう
腹筋は綺麗にシックスパック。
腕もたくましいことたくましいこと。

しかしそれでいてただゴツい訳でない
どちらかと言えば程よい身体付き…


――ハッ!

自分は一体何を考えているのだろう

男性の裸体をまじまじと観察するなど…


「ほらな。
お嬢さん、俺の身体欲しいみてえだし」


「なっ…!?///」


全てを見透かされているかのようで
自分の顔を覗きこむ熱っぽい視線に
ほだされてしまいそうになる


―――ああ…私、この人に勝てないかも

私の中の何かが崩れた

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