《MUMEI》

私は完全に抵抗する気を失った

それが何故かは全く解らない

しかしその気を龍に知られるのも
何だか癪なので黙っていることにする


「…じゃあ洗ってよ。執事らしく。」

「…フフッ。りょーかい。」


「んじゃお嬢さん。まずは髪から。」


―――ザーッ

浴場にシャワーの音が響き渡る


龍は手際よく髪を洗っていく

その洗い方はゴツゴツした指やらからは
想像できないくらいに優しく心地よい
適度な力を加えられた物であった


「…上手いわね。」

洗い終わった龍に思わず本音を漏らす

「そりゃどーも。俺も執事なんでね。」


「…じゃあ。身体いきますか。」

そう言ってニヤリと笑う龍。


「頭ちょっと洗ったのとは
比べもんになんねえくらい
気持ちよくしてやるよ。」

「…っ!///」

意味深な龍の言葉に思わず赤面する


「あれ?お嬢さん?
何か想像しちゃった??」

ニヤニヤする龍を睨み付ける

「…そんなことっ///」


「…ふーん。
でもさ、そんな顔で言われてもさ…」

タオルで泡立てていた龍の顔が
急に近付いてきて耳元へ…

―――誘ってるようにしか見えねえよ?


低く甘い囁きは私をぞくぞくさせた

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