《MUMEI》 カリカリカリ… コリコリカリ…… 只今、テスト中。 (あと15分…時間が余ったな) 本日最後のテストである数学をいち早く終わらせたため、時間が余り、とても暇だった。 (得意科目だといつもこうなるんだよなぁ…やることないし、席立ったらダメだし、暇だ) 暇で、しかも静かだと睡魔が襲うため、私は毎回テストを見直すのだ。 ピラッ… 私はテスト用紙をひっくり返し、間違いや書き忘れたところがないかチェックする。 (…つっても、間違いなんてほとんどないんだけどな…) 今回もまた間違いはなく、おそらく満点だろうと考えていると、ふと思いだした。 『なんで桐生が一番にこだわるか、知ってる?』 その言葉は、夏休みにバイトした帰りに彩原と口論になったときに言われたものだった。 (結局あれから何も聞いてなかったんだ…) その後の勉強会での一件でまた気まずくなるのが嫌で、聞かないように避けてきたけど… 『お前が俺の内側に入ってくれて嬉しかった』 (…また…嫌な思いさせちゃうかもだけど、近いうちに聞いてみようかな) 今まで気付かなかったけど…私はいつも慎重になりすぎて誰かと衝突してしまう。彩原のときも、桐生のときも… だから今度は、一歩踏み出してみよう。 私の考えがまとまったところで先生がテスト用紙を持ってくるよう指示した。 私は一番後ろの席なため、自分の列の分は私が集めて先生に渡さなきゃいけない。私は席を立ち、テスト用紙を一枚一枚集め、先生に手渡しした。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |