《MUMEI》

最後のテストも終わり、生徒全員帰る準備をする中、私は桐生と彩原のいる席まで小走りしていった。


「テストどうだった?」


桐生達のいるところまでたどり着くと、思わず聞いてしまっていた。


「おうよ、バッチリ!」

元気満々にピースしながら言う桐生。


「うーん…まあまあかな」
爽やかな笑みを見せつつ少し不安そうな様子の彩原。


「そっか、やりきったって顔してるな桐生。彩原は不安みたいだけど…」

「おう!今度こそお前を2位に陥落させてやる!」

「俺的に間違いがいくつかあった気がしてね…上から5番目までに入ってないと、母さんに叱られるし」


「そっか…あ、もうこんな時間だし帰るか」

「そうだな」

「帰ろっか」



私達3人は、仲良くなってからは一緒に帰ることが多くなっていた。

和気あいあいと話し込むのも日課になりつつある。

…まだ桐生とは目を合わすことができないけど。


「ねぇ、またテスト前になったら勉強会しよーよ」

「そうだな、また俺ん家でやるか?」

「僕の家でも良いんじゃない?」

「おー、あのデカイ家な!」

「え、橘ん家そんなデカイの?」

「まぁ、それなりには」

「謙遜すんなよ〜!」


そう言って桐生が私の背中をバシバシ叩いている間に、駅近くに着き、彩原と別れる。


「じゃあね2人とも、また明日!」

「じゃな〜」

「また明日。」


彩原同様手を振ると、私達は再び歩きだした。


(…ああ…やっぱりまだ目を合わせれない…)


聞きたいことがあるのにこんな状態じゃ聞くに聞けないよ…

「ふっ…くくくっ…」

沈黙が続く中、桐生が突然笑いだした。何事かと思い、思わず聞いた。


「なんで笑ってんだよ」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫