《MUMEI》

「ありがとう!」


私はすかさず
お礼を言った。

すると助けてくれた
女の子2人は
「いいよいいよ〜」と
明るく流した。


「私、桜っていうの!よろしくね!」


「ああ、高等部からの編入生だよね?理事長の娘って噂の」


「先生達が話してるの、聞いちゃったんだ〜」


「えっ、そうなの?」



どうやら2人は…
というか女子の殆どは
私のことを知ってる
らしい。


お義母さん…

どれだけ私のことを
言いふらしてたのさ…!



「私、綾音!仲良くしよ、桜ちゃん!」


「私は捺。よろしく〜」


「うん、よろしく!」



よかった、何とか
打ち解けれそう。

と思ったのも束の間、
教室のドアから
担任の先生らしき人が
入ってきた。


「はーい、席について下さい!」


皆先生の言うことを聞き
お喋りを止めて
席についた。


「私はこのクラスの担任になる、北島です。さっそくですが始業式のため、体育館に向かいます。並んで下さい」



なんか…
若い先生だなぁ…


艶のあるキレイな黒髪に
くすんだオレンジの瞳
黒ぶち眼鏡が印象的な
男の先生だった。


「イケメンだね」


「うわ、何歳だろ…」



女子の皆が
ヒソヒソ声で話してる。

…確かに、
若くてカッコイイ先生だ
認めざるを得ない。



私達生徒全員
廊下に並びだすと、
不意に先生と
目が合った。

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