《MUMEI》 ハジメマシテ―翌日― 「ナカ〜!もうすぐ来るから、ちゃんと挨拶するのよ!?」 リビングから響く母の声 私は無言のままだった。 「…………」 そのとき私は喋る練習をしていた。私が喋らないと、また母に呆れられてしまうと思ったから。 もうじき、新しい父と兄が家にやって来る。今日は顔合わせみたいなものだった。 「………」 やっぱりまだ口を開けない…… 私はもう一度頑張ってみる。 「………ぁ…」 「ぁ」という言葉だけで思い出す光景。 私はまた口を閉じてしまった。 やっぱり…無理…… そんなとき、ちょうど新しい父と兄が家に着いたらしく、車のエンジン音が段々小さくなる音が私の部屋まで聞こえてきた。 2人、来たんだ… 私は練習を止め、一階に向かった。 前へ |次へ |
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