《MUMEI》
次の日
「おはよう、お母さ…」


朝、目が覚めたためリビングに向かうとそこには置き手紙がテーブルの上にあった。

『ちょっと出かけてくるわ。しばらくは帰らないから。』

手書きの絵文字すらないのはいつものことだ。
そして、「しばらく帰らない」という言葉の意味もわかっていた。

(愛人のところ…ね)

母はいつも家を空けていて、父と離婚してからというもの、愛人を何人もつくっては泊まりにいく…の繰り返しだった。

(こういうとこ、似ちゃったのね)

まあ、セックスする快感は一度覚えたら止められないもんね。

容姿・性格共に母に似たため、多分母も私と同じだ。

置き手紙をゴミ箱に捨てて、冷蔵庫の中を漁る。

(なんか適当に食べよ)

そう思いながら卵を取り出した。炊飯器からご飯をよそい、卵を割って入れ、かき混ぜた。

(昨日も全く同じ朝御飯だった気がするけど、まあいっか)

私は卵かけご飯を食べ始める。

こういうことはしょっちゅうある。逆に、母がいることが不自然に思えるときがあるくらいだ。

「ごちそうさま」

私はお茶碗と箸を台所の水に浸け、学校に行く準備をしだす。

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