貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》捜索
「それじゃ行きましょうか。」
幸司が立ち上がって梢に手を差し出す。
「む、かたじけない。」
その手に掴まってゆっくりと立ち上がる。少し腰が痛い。
玄関のドアを開けると、外はさっきより雨が激しくなっていた。
いまだに停電は復旧しない模様。さっきよりは穏やかだが、落雷を受けた楠木はいまだに燃えている。
幸司は傘を開いて梢を手招きする。梢は、「うむ」と口をへの字にして傘の中に入った。
「ここに君が倒れてたんだよ。だから刀があるとすればこの辺じゃないかな?」
幸司がそういうと、梢はすぐに、まだくすぶってる木の中に手を突っ込んだ。
「むぅ……。お!あったぞ!」
梢が子供の様に叫んで、木の下から何かを取り出す。
それは火の光を浴びて不気味にぎらつく刀、まさに日本刀だった。
幸司が言葉を失っていると、梢が困ったような表情をする。
「うぬ…。鞘が挟まれて取れぬではないか…。」
確かにアスファルトと木に挟まれた鞘は取れそうにない。
幸司はいまだに言葉を探しながら梢を見ていた。
と、梢が腰を低くして何か身構えた。目つきがさっきまでと違う。
キヒィン!と鋭い金属音。続けざまに斬撃が続く。
幸司が目を開けた時には、梢は鞘を拾い上げているところだった。
さっきまで、鞘に重くのしかかっていた楠木は、梢の周りだけ、細切れになっていた。
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