《MUMEI》

「ただ、“まだ”なだけだ。」

「どういう意味だよ?」

「いいか、良く考えてもみろ。俺達はあのアパートの事件に関する情報を、一体どれだけ知ってる?」

「女の人がそこでバラバラにされて殺さたって事だろ。」

「あぁ。けどそれだけだ。細かい事は知らないだろ?」

「そりゃ、まぁ…。」


確かに司の言う通り、『殺人があった』という漠然な情報しか持っていない。


「だから、もう少し詳しくその事を調べる必要があると思うんだ。
何か助かるヒントが見つかるかもしれない。」

「可能性は少なそうだな…」

「でも調べてみる価値はある。」

「まぁ…。」


もう何も言い返せなくて、洋平は口をつぐむしかなくなった。


「それと、もう一つ…」


司はまたパソコンを弄りだした。

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