《MUMEI》 どうにかする、それだけを言って二郎は俺を見送った。 参観日当日は和やかに、時間が過ぎてゆく、クラスの半数は集まった。 二郎がなんとかっていうから落ち着かない、間違って同じ生徒を当ててしまった。 あと10分で終わってしまうんだが…… ばだばたと扉が開く。 「うわあ、キレー……」 野次馬の生徒は親の顔を見て勝手に品定めする、その中の子供が騒ぎ出す。 セミロングに、グレーのジャケットに黒のタイトスカート、落ち着いた雰囲気のお母様……の扮装の、二郎かよ。 小さな会釈をして入り口に立つ。 どうにかする、の秘策とはこれか。 俺も、律人もあんぐり。 「モデルさんみたいだね。おかあさん?お姉さん?」 女の子達は冷静に二郎の年齢をあてにかかっていた。 髪色は地毛の普段の色より黒に近く、幼顔の二郎が化粧をきっちりすると、普段よりも華やかな美女顔になるみたいだ。 骨格も細く、喉仏は服で隠している、いつものようにはにかんで微笑むとより、女性的な色気がでてきた。 ああ、この黒い透けた色のストッキングにハイヒールとか履いたらすげえエロいんだろうな…… 律人と、目が合うと二郎がはにかんで手を振った。 「律人君のお母さん?!」 「すごーい!美人!!」 「先生、五月蝿いです!」 「……あ、ああ。おまえら、終わりのベルまでが授業参観だからな!」 やべえ、二郎が可愛すぎて、うっかり見惚れてしまった〜〜〜〜! ベージュのルージュがとてつもないえろい。下がり気味の眉とか落ち着いた色みのアイカラーにチーク、自然に見えるようにメイクをしている。 二郎は地味に見えるけど女性的な線があるから、か弱さを強調すると美人なのである。 前へ |次へ |
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