《MUMEI》
2
「お帰り」
母親から預かった鍵で佐藤宅へと入った三浦
寛ぐでもなく待っていた三浦だったが、何かすることは無いだろうかとふと時計を見やる
そろそろ、夕食時
丁度良いだろうと三浦は食材を買いに近所のスーパーへと出向き
「……何、してるの?」
その帰り道、佐藤と出くわした
スーパーの袋を持っている三浦に、佐藤は更に首を傾げて見せる
「……今日の飯、オムレツでいいか?」
「え?」
「メシ、一緒に食おうと思って。材料、買ってきた」
迷惑だったかと問うてみれば
佐藤は瞬間驚いた様な表情を浮かべて見せた後
緩々と首を振って見せた
「……今日、お母さん、行ったでしょ」
「何で?」
佐藤からの指摘にギクリとしながらも三浦は何とか白を切る
何故そんな事を聞くのか改めて聞いてみれば
「……お母さん、士郎君の事、色々聞いてきたから」
興味を持って見に行ってしまったらしい、と顔を伏せる佐藤
そんな母親が恥ずかしいのか、三浦へと恥ずかし気な表情だ
「気には、してねぇよ。驚きはしたけどな」
だから気にするな、と佐藤の頭へと手を置いた
髪を何気なく梳いてやれば、気持ちが良いのか佐藤はされるがままだ
「……士郎君は、不思議なヒト」
「は?」
「士郎君なら、全然嫌な感じがしない。だから、不思議」
まるで猫が喉元を撫でられその心地よさに浸るかの様に
佐藤の表情もやんわりとしたソレへと段々と変わっていく
「人に触られるの、苦手だったの。でも、士郎君なら、平気なの」
それが自分自身不思議で仕方がない、と佐藤ははにかむ様な顔
照れてしまったのか、その後交わす会話は少なくそのままアパートへ到着
三浦は早速台所へと立つと手際よく支度を始めた
「……ピーマン?」
材料の中にそれを見つけ佐藤が呟く
嫌いなのだろうか?
その表情を窺い見れば難しげな顔で
三浦は僅かに笑みを浮かべると、それだけを材料から省いていた
「別に、無くても出来るしな」
独り言に呟き、三浦は作り始める
その手際の良さに佐藤が魅入っているとすぐに料理は完成
皿へと盛られ、佐藤の目の前へ
「何か上にかけるか?」
ソース・ケチャップ色々ある、と見せてやれば
佐藤は暫く考える様を見せ、そして緩々と首を横へと降っていた
「このままで、いい」
添えられたスプーンを取ると、佐藤は食べ始めた
味はどうかを聞いてやれば、美味いのか頷いて返してくる
「……士郎君は、食べないの?」
作ったオムレツに手を付けることもせず、佐藤ばかり見やる三浦へ
佐藤は小首を傾げ当事をしてくる
三浦はそこで漸く食べる事を始めた
「……士郎君は、なんで、料理が上手なの?」
「は?」
佐藤からの行き成りなそれに三浦はつい間の抜けた声を返す
つい佐藤の方を見やってしまえば
「……お母さんより、上手だから」
若干言いにくそうに口籠りながら呟いた
何故、と聞かれても考えたことがなかった
料理は別に嫌いではないので節約も兼ねて毎日作るようにしている、唯それだけ
それ故何と返して考え込んでしまえば
「……教えて、ほしいな」
意外な申し出
突然のソレに居を三浦だったが、すぐに肩を揺らし
冷蔵庫から卵を取りだすと、佐藤へと渡してやった
「オムレツ、作ってみるか」
今ある材料すぐに出来るものといえばやはりそれで
同じもので申し訳ないけれど、との三浦へ
佐藤はそれでも嬉しそうに表情を綻ばせると大きく頷いていたn
「じゃ、まずは卵割って」
「……やって、みる」
なぜか緊張した面持ちで卵を手に取る佐藤
ボールの縁に卵をぶつけ、だが力が強すぎたのか
そのまま卵は割れてしまう
「……ごめん、なさい」
「まだ有るから大丈夫だって」
もう一回な、と改めて卵を渡してやり
「そんあ力いっぱいぶつけんでもいい。こうやって」
言いながら三浦は佐藤の手と小野がソレを重ね
ボールの縁へと程よい力加減で卵をぶつけてやった
「……出来た」
まだボールに割入れただけの卵
だが、たったそれだけでも佐藤は嬉しそうに表情を綻ばせた
「喜ぶのはまだ先。次はソレ混ぜて」
「わ、わかった」
言われたと通りに佐藤は卵を掻き混ぜはじめ
それを横目で見てやりながら、三浦はフライパンを温め始めた

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