《MUMEI》 「っ!!!」 櫛の先がフローラの耳を掠めた。 「…すまない」 (もぅ止めて………) レオンには何の罪も無い。彼は勤めを果たそうとしているだけで、フローラを苦しめようとしていない。 (怖いょ……) フローラの我慢が限界に達した、その時。 「終わったよ。何故そんなに怯えていたのかな?」 「ぁりがとうございます…。別に何でもないのでっ!き、気にしないでくださいね!?」 「………、そうか」 (バレバレじゃないかぁ………っ!!!) 「百面相されても困る」 「ふぇ!?」 「オレはこれで。…お休み」 レオンは音も無く、フローラの部屋をあとにした。 「はぁ………」 フローラは椅子から離れた直後、盛大に溜め息をつきながらその場に崩れた。 (これを毎日…?身体が保たないよ…) ボフンッと音を立ててベッドにとびこんで、布団の中に潜り寒くもないのにダンゴムシのように身体を丸めた。 眠りに就くことは、その体勢と無関係だったが容易でなかった。 前へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |