《MUMEI》

部屋を出て廊下、ギシギシ軋む階段、トイレへのコースを進む私の背後をヒタヒタと尾けて来る謎の足音があったのです。


単なる音の反響なのでは無いのか?
と思う読者の方もおありでしょう。
もちろん今はともかく、当時天才の片鱗を覗かせていた (今は天災の片鱗ですが)無邪気な幼稚園児の私が、そこら辺に推理の思考が及ばない訳がありません。


これは音の反響による錯覚であるのであるから、何も怖がる必要は無いのだと、自分のスリッパの足音とそれによって起こるであろう、木造アパート内での反響音を自身の聴覚を集中し、科学的思考にもとずいて測定する訳です。


その結果、無邪気な幼稚園児科学者は恐るべき事実を発見し、戦慄したのです。

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