《MUMEI》

例えば無邪気な幼稚園児科学者の私は、
謎の足音の科学的検証のために、


ヒタヒタヒタ


と三歩歩いて立ち止まる訳です。


すると針の落ちる音さえ聞き逃すまいと集中する、無邪気な幼稚園児科学者の鋭い聴覚が、背後の謎の足音を科学的思考にもとづいて測定します。


おかしい!


これは明らかに不可思議な現象である!


私は確かに三歩しか歩いていない。


しかるに何故?


何ゆえに背後の足音は、


ヒタヒタヒタヒタ....


四歩なのだろうか?


背後を振り返る私の眼に映るのは、しんと鎮まり返って並ぶ他の住民達のドアの列。


ぎょええええ!!怖いピー〜!!


そうなるとパニックです。


沈着冷静にして科学的思考を重んじる、無邪気な幼稚園児科学者のちっぽけな理性は吹き飛び、原始的恐怖と混沌とした思考の中に理性は叩き落とされるのです。


少し文章がふざけすぎました。


もとに戻しましょう。


以上の理由で恐怖に駆られた無邪気な幼稚園児の私は、階段を駆け下り階下の共用トイレに飛び込むや、便器の外に小便が撒き散らされるのも構わず、大慌てで用を足すと、これもまた大慌てでズボンのチャックを引き上げ、(この時に私はナニをチャックに挟んでしまうとゆう、別の意味で恐ろしいアクシデントを何度か経験しています)
2階の部屋に向かい、階段を駆け上がります。
そのドタバタ走る私の足音を追うように、テンポがずれた謎の足音も騒々しく階段を駆け上がるのでした。

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