《MUMEI》

「えーでは、1年1組の出し物を決めたいと思います」


ざわざわ……



仕方ないため渋々実行委員を引き受けた私と桐生は、さっそくクラスで何をやるかを決めるよう穏和頑固ジジイ…いや、担任の先生に言われた。


だがしかし。


「早くしてくれよ〜」


「俺今日塾なんだけど」


「実行委員!さっさと出し物決めろよなぁ」



口々に早く帰りたいやらさっさと終わらせろやらの声が聞こえてくるだけで、当人達はやる気の欠片もなく帰ることだけを考えている。


ちなみに今のところ、うちのクラスではお化け屋敷(桐生案)と女装カフェ(ホモ男子案)が挙がっているのだが、自分達がとっとと投票しなくちゃ帰れないってことを分かっているのだろうか?


そのことで無償に腹立たしくなった私は、さっさと帰りたい気持ちと実行委員という面倒事を負わされたことへのぶつけようのない怒りで思わず次の瞬間、行動にでてしまった。



バァンッッ!!



勢い良く黒板に掌を叩きつけ、しぃんと静まり返った教室をジロリと見回し、口を開いた。



「帰りたいってんなら、まずそれだけの行動を示せ。てめぇらが投票しねぇと終わるもんも終わらねぇんだよ」



―数十分後―


ただいま、帰る支度の途中である。


ちとやり過ぎた感ハンパないが、順調に投票してくれたおかげでこうして帰ることができたのだから良しとしよう。


だが何故か投票中の皆の顔が怯えきっていたように見えたのだが…どうしたのだろう?



「おーい、橘!一緒に帰ろうぜ」


「ああ桐生。そうだな」



別に待ち合わせとかはしてなかったのだが、偶然にも帰ろうとしたときに鉢合わせたため一緒に帰ることになった。

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