《MUMEI》
和室
ハサミをジョキジョキ。
空になったティッシュの箱を半ば無意識に切り取っていく。
何を作ろうとしているんだろう、というか焦点がぼやけているような。
ふーっと大きく息を吐き出してブン太は畳の上に身を投げた。
目を閉じてよしなし事を考えているとガタンという音がしてツギハギだらけのふすまが開いた。
「ハロー」
青いクマが中から出てきた。
僕は慌てて起き上がり青いクマを凝視した。
「怪しい者ではありません」
クマは僕に言う。
「私は見ての通り青いクマですが怪しいクマではありません。野暮用があってここに来たのです。
あなたのハサミ貸していただけませんか?」
「何に使うつもりなの?」
「あなたに教えるつもりはありません。カタツムリには教えてもあなたには絶対に教えません。なぜなら私は誇り高き青いクマ」
非常に不愉快なクマだと僕は思った。非常に…。

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