《MUMEI》

デュラムは魔王の首を自分の目の高さまで持ち上げる。

魔王の顔は青白く瞳は閉じられている。

とても生きているようには見えない。


「…。」


さっきの声は自分の幻聴だったのではないか…

そんなことを考えながら魔王の顔を睨み続ける。

すると…


「…いつまで睨めっこする気だ? むさ苦しい男と見つめ合う趣味なんぞ俺にはない。」

そう言って魔王はゆっくりと目蓋を上げる。

赤黒い…濁った瞳孔がデュラムを見ている。


…バカな。

こいつは生きている。

首を切断されているにも関わらず生きている。

どうする?

今すぐ首を地面に叩きつけ踏み潰すべきか?

さらに剣で滅多刺しにするか?

そうすれば魔王は死ぬのか?

まさか…不死身なのか?

デュラムは様々な思考を巡らせる。


「おい…ベロムとか言ったな人間。せっかくこの俺が話をしてやろうというのに反応が薄いな。…先の戦いで疲れたか?もう寝るか?


魔王がふざけたことを言っている。

今すぐにでもこの首を串刺しにして火で炙ってやりたいが…。

こいつの真意がわからない。

何か企んでいるのか?

…だが首だけの奴に何ができる?

せいぜい減らず口を叩くくらいか…。


「俺は聖騎士デュラムだ。そんなマヌケな名前ではない。」

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