《MUMEI》
土産
「やっと話す気になったか。俺はてっきり先の闘いで総入れ歯を無くしたから喋れんのかと思ったぞ。フフフ…。」

薄気味悪い笑みを浮かべる魔王。

「ふざけるな。俺はまだ入れ歯なんぞ着ける歳ではない。」

「そうかいそうかい。それは失礼した。
ま、お前の年齢など微塵の興味もない。
今日の夕飯のメニューの方が二千倍は気になるな。」

「馬鹿が。今から死ぬ貴様が夕飯のメニューなど気にする必要はない。自分の立場を理解しているのか?無力な生首風情が!」

「…まあ、そういきり立つなよ。聖騎士さん。
俺はお前に最期の土産としてためになる情報を与えてやろうというのだ。優しいだろ?」

「魔族の分際で気味の悪い事を言うな!貴様らに優しさなどという感情は存在しない!
周りを見てみろ!どれ程の兵士が死んでいる?全て貴様らがやったことだ!」

「…否定はしないが…。暑苦しい奴だな。見ていてヘドが出る程に。…あの人なら即座に首を撥ね飛ばすだろうな。って人じゃないっての。」

「…何を言っている?」

「ん?今はあまり関係の無い話だ。気にするな。…さて、そろそろ本題に入るとするか。」

デュラムは魔王を射ぬくような視線で睨み付ける。

「先に言っておくが…貴様のくだらん無駄話が終わり次第、俺は貴様を殺す。剣で刺し、足で踏み砕く。原形も残らん程にな。」

「おお!何と血の気の多いことだ!
…まあ、好きにすればいいさ。ただし、話は最後まで聞いてもらうぞ。」

「グダグダ言わずにさっさと話せ。」

魔王は僅かに眉をピクリと動かし…ゆっくりと話し始めた。

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