《MUMEI》 合う人くだらない…、どうでもいい…。 そう思っているのに、またメッセージを受信する。 『小学校からの付き合いだったんだけど昨日、裏切られたんだよね(-_-;)』 矢野さんは僕が返信していないのに、一方的にメッセージを送ってきた。 中学のときに一目惚れした先輩を追って、今の高校に入ったこと、そんな矢野さんを、いちばん近くで応援していてくれた筈の親友が、その先輩と矢野さんに隠れて付き合っていたこと…。 矢野さんは吐き出すように、僕にメッセージを送ってきた。 矢野さんは今どんな顔で、僕にこのメッセージを送っているんだろう…。 ふと、そんなことを考えた。 好きな人を追って今の高校に入ったなんて、僕と一緒だ…。 小学校の頃からの付き合いだったっていう親友も、僕と綾女の付き合いと同じだ…。 僕の好きな人は綾女だけど…もし、綾女に彼氏ができたら… 僕も矢野さんみたいに、綾女との思い出を壊すのかな…。 矢野さんの気持ちを想像すると、胸が締め付けられた。 でも…… 綾女は僕なんかより、もっと男らしくて逞しい人の方が合ってる。 腕を組んで歩ける人…。 僕なんかじゃ、綾女が高いヒールの靴を履いたら背を越されちゃうし、周りから見たら、ただの女友達にしか見えないだろう…。 そんなんじゃなくて、もっと… 背が高くて、綾女を抱き抱えられるくらい逞しくて……そんな人だったら…、綾女と一緒に歩いてても、映画みたいに画になるんだろう…。 そしたら僕は、おめでとうって言ってあげなきゃいけない。 幸せになってねって…。 綾女の笑顔が、もう一度見れたら僕は…… 「なにやってんの?」 頭上から声がして、見上げると綾女がいた。 「てか、携帯握り締めてなに泣いてんの?」 綾女に言われて僕は、自分が泣いていたことと、辺りがもう暗くなっていることに気付いた。 前へ |次へ |
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