《MUMEI》
悪趣味
綾女はパッケージを見てから、僕を見て眉を顰めた。

「あんたさ…、あたし以外にも虐められてる?」

意外な言葉に僕が驚いてると、綾女は続けた。

「怖がりのあんたに、こんな嫌がらせするとか…ウケんね…もしかして佐伯のグループとまだ関わりあんの?」

佐伯和真(サエキ カズマ)。
幼稚園からの付き合いで、綾女よりも長い付き合いの彼は、僕とは真逆の性格で、いじめの主犯格だった奴だ。

「今日泣いてたのもそれが原因?」

なんて答えるべきか悩んでいると、綾女は画面に目をやって、暫くしてから僕の足先から頭までを何回か見た。

「もしかしてさ…案外喜んだりしてんの?」

「……え…?」

「この女の人と自分重ねてみたりしてる?」

「してないよっ!」

恥ずかしくなった僕は、取り返そうとパッケージに手を伸ばしたけど、 僕が取り返す前に綾女が後ろに隠してしまった。


綾女が…僕のエッチなDVDを持ってる…。


そう考えたら、僕の股間が反応した。
それに気付いたのか、綾女が僕のスカートを思い切り捲った。

「やっぱりね」

女性用の小さな下着からはみ出た僕の大きくなったものを見て、綾女は言った。

「嫌がってるフリして実は女装も愉しんでたの?じゃなきゃこんな格好のまま、こんなの観ないもんね」

「やめ…てよ…」

綾女に僕の恥ずかしいとこを見られてる…。
触れられてもいないのに、それだけで僕は、射精してしまいそうになった。

「…ねぇ……これ観ながら何してたのか見せてよ」

綾女が、とんでもないことを言い出した。

「それとも手伝って欲しい?」

そう言って綾女は、パッケージに目をやると、パソコンの前に座った。
長い髪をひとつに纏めた後ろ姿に、僕の鼓動が激しくなる。
綾女にまで聞こえてしまいそうなくらい、鼓動は激しく脈打っているのに、綾女は気付く様子もなく、DVDを戻してみたり進めてみたりしながら、観ている。

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