《MUMEI》
正体
「俺はお前に俺自身がどんな種族の魔族なのかを話していない。
そして、俺がなぜ生首だけの状態で生きていられるのか?…その答えは俺の…俺達の種族にある。いや…違うな。さらに細かく言うと俺達の中のごく一部の個体だけが生首だけでも生きていられるというわけだが…」

「貴様らの種族全員が不死身ということではないわけだな?」

「そういうことだ。現にお前達は先の戦いで俺の部隊の兵達を何体も倒しているだろう?」

「ふん。数ばかり多くて歯応えはあまりなかったがな。こちらが貴様等と同等の兵の数で戦っていたならば圧勝していたはずだ。」

「…言ってくれる。ところで、ついでに教えてやるがヴァンパイア族は不老不死に近い肉体を持つが不死身ではないぞ。どんな奴にも弱点はあるものだ。世の中上手く出来てるね。
…さて、ここからが本題だが…生首だけになっても生きていられる俺は一体何者なのか?気になっているであろう答えを今…お前に教えてやろう。」

「ぬかせ。お前がどんな種類の輩だろうが関係無い。貴様はもうすぐ俺によって倒される!」

「…まあ、これで最後なんだ。そう焦らずに話を聞けよ。…俺はゾンビ族の魔王…『ゾラ』だ。もう会うこともないだろうが、礼儀として名乗っておいてやる。」

「ゾンビだと…?」

「クク…お前はなかなか面白い人間だったよ。ある意味…うん、少しだけ勉強させてもらった。ほんの少しだけは…感謝してやる。

…おっと!そろそろ別れの時間が近づいてきたな。」

自らをゾンビ族の魔王『ゾラ』と名乗った男は聖騎士との会話を一方的に打ち切った。

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