《MUMEI》
彼女の微笑み
「脱いだの?」

ライターを探しに行った綾女が、部屋に戻って来て、裸になっている僕を見ると、鼻で笑った。

「ほんとに脱いでる…そんなに手伝って欲しいんだ?」

そして蝋燭に火を点けた。

「さっきのやつ観ててさ、さすがに気が引けるなって思うのばっかだったんだけど…なんとなくこれはできるかなって思って」

蝋燭の灯りに照される綾女の顔は、なんだか妖艶で見とれてしまう。

「蝋燭の火って、なんか綺麗だしさ…てか、パンツ脱いだんだね…お気に入りじゃなかったの?」

クスクスと笑う綾女を見て、久し振りに笑ってるの見たな、と思う。

「じゃあいいよ、いつもみたいにしてみて」

綾女に促されて、僕は自分自身を握って上下に扱いた。

「…あんまり…おっきくなんないね…さっきのがおっきかった」

興奮よりも、これから体に蝋を垂らされる恐怖の方が勝って、集中できなかったけど、つまらなそうに綾女が言うから、僕は必死で扱いた。

「あはは、速くなった」

必死で扱く僕の姿を見て、綾女が笑いながら蝋を垂らしてきた。

「……あ…っ!!」

熱いような痛いような感覚が肩に刺さって、僕は情けない声をあげた。

「嬉しい?」

「…ぅ…嬉しい、です…」

やっとの思いで答えると、綾女が微笑んだ。
そして背中や足に、次々と蝋を垂らしてくる。
熱くて痛くて、やめて欲しいのに綾女の微笑む顔が見たくて、僕は耐えた。



けど……



「あ゙ぁぁぁああ゙ぁぁぁッッ!!!!!!!!」

一滴の蝋が僕自身の先に垂れた瞬間、僕は耐え切れずに叫んだ。
綾女は僕の反応に驚いたんだろう。
前屈みになった僕の背中に、大量の蝋が垂れてきたのは、その反動だと思う。

「…ぁ…あや…め……綾女…」

あまりに強い刺激に、僕はどうにかなってしまいそうで、綾女の足にしがみ付こうとすると、背中に激痛が何度も走った。

「触らないでって言ったでしょ」

見上げると、バラ鞭を持った綾女が僕を睨んでいた。

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