《MUMEI》

本当に、言っていいのか。引かれやしないか。でも聞いたのは熱ちゃん本人じゃないか。

「……好き……なんだ……ょ」

消え入りそうな小さな声で本音を漏らした。熱ちゃんに聞こえているだろうか。

少し顔をあげてみた。変わらず熱ちゃんは真っ直ぐに、誠実な瞳で僕だけを見つめていた。

「本当に?」

そう聞き返すということは、しっかり君に届いたということか。嬉しいけれど、焦れったくて、恥ずかしい。

「本当……だよ」

頬は夕陽よりも紅潮していそうで、顔いっぱいに熱がこもる。

少しの間があって、服のしわが擦れる音がした。

チュッ

「……っ!?」

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