《MUMEI》

一瞬のことで、何が起きたかよく分からない。キス……された?熱ちゃんが?

熱ちゃんはくすりと笑った。

「俺も、錦ちゃんのこと大好き……愛してるって意味でね」
「じゃ……じゃあっ!!!」

チュッ

もう一度、唇を重ねた。道端だからか、これだけの動作、これだけが恥ずかしかった。

「俺と付き合ってください」
「……僕で良ければ」
「……」
「……」
「「ぷっ……はははっ」」

どちらかともなく笑った。だって幼馴染の間でこんな言い方、おかしいだろう。

ここまで長い道だった。思えば僕が素直になれたらもっと早く短い道のりであったのだろう。彼女らしくて良いんじゃないかとも思えた。

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