《MUMEI》
零れる悲しみ
   〜麗羅視点〜


走って追ってきたせいで


もう膝がガクガクいってる。


今まで本気で

走ったことなんてなかった。


あの時は

ただ立っているだけで


何も言えなかった。


でも、もうそんなの嫌・・・。


何もできないで

失うのは・・・もう嫌。


お願い・・・。

私の側に居て・・・・・。

私を置いてどこかにいかないで・・・。


私を・・・捨てないで。


あの時の悲しみまでもが


蘇ってくる。


『歩・・・

お願い・・・!

私を見捨てないで・・・!』


あの時泣けなかった分まで

涙が溢れ出してくる。


私は、ずっと

泣くのを我慢してきたのかもしれない。


『ねぇ―・・・お願い。』



「俺が居なくても

海や栄実



村上がいるだろ・・・。」



『歩の代わりなんて


いない・・・。


私は、歩に側に居て欲しい・・・。


お願い・・・。


私を置いてどこかに

行かないで・・・。』


とどまることを知らないかのように

涙は次々と零れ落ちる。


歩が、クルリと向きをかえ


こちらを向いた。

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