《MUMEI》
これでいいんだ
   〜歩視点〜


麗羅チャンの方を向く。

麗羅チャンの綺麗に整った顔は

涙で大洪水。


そして麗羅チャンの

白く透き通った肌は

泣いたせいか

熱を帯び

ピンク色に染まっている。


こんなに涙を流して

俺に側に居て欲しいと言う麗羅チャンを

見ると、村上のことなんて

どうでも良くなってしまった。


俺は、自分でも呆れてしまう程

単純な男だ・・・。


でもいいんだ。


麗羅チャンの泣いた顔も

可愛いけど


やっぱり泣き顔より


笑顔が見たいから・・・。


麗羅チャンが望むなら

友達としてだって


ずっとずっと側に居る。

だって何があったって


俺は、麗羅チャンのことが







好きだから。


そう思うと

さっきまで辛くて

仕方なかった気持ちが

スーッと晴れていく。

俺は、これでいいんだ。


目の前にいる愛しくて仕方ない

麗羅チャンの目を見つめる。


目は合っているのに


なんとなく

麗羅チャンは、俺を見ていない気がした。


目は俺を見ている・・・。


でも心が違う方を

向いている。



そんな気がした。


そう言えば

さっきの言葉・・・?



過去に誰かに

置き去りにされたことがあるのか?

さっきのは誰に伝えたい言葉なんだ?


「麗羅チャン・・・?


俺は、麗羅チャンを置き去りに

したりなんかしない。


それは他の誰かに

伝えたかった言葉じゃないの?」

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