《MUMEI》 兵士「…ん?とっくにケリが着いてるかと思ったが…まだやってるのか。…敵はあと一人だな。」 ゾラはゾンビ兵達が輪になって一人の男を取り囲んで攻撃している様子を見守る。 「おお!!一番弱そうだった奴が一番最後まで生き残ってる!これは燃える展開だぞ! …どこまでやれるか観察してみるか。」 ゾラはその場に立ち尽くし戦いを見届けることにした。 輪の中心から若い男の叫びが聴こえてきた。 「死ねない!死んでたまるか!僕には帰りを待っている人がいる!死ねない理由があるんだ!ここで散った仲間のためにも…絶対に生き残らなければならないんだ!お前らなんかに!お前らなんかに…!」 叫びながら若い男は両手に握り締めた剣を振り回す。 その姿は鬼神の如くとも言えるだろうか。 「ふーん…。ま、それぞれ事情はあるわな。しかし…ついさっき見かけた時は今にも嘔吐しそうな土気色の顔をしていたくせに…。これぞ火事場のなんとやらかな。人間てのはよくわからん生き物だ。」 ゾラは独り呟く。 また集団の中から叫びが聞こえる。 「倒す!一匹残らず倒してやる!!みんなの仇を討つ!今の僕ならやれる!血がたぎっている!心が燃えている!敗ける気がしない!! うおぉぉぉーっ!!」 叫びながら剣を振るう若い男。 それを生暖かい目で見ているゾラ。 「なーんか…今の台詞を聞いて無性に腹が立ってきたんだが…。つーか、さっきお前らの隊長とやらが『仲間大勢やられて許せん!』みたいなこと言ってたが…そっちこそ俺の大切な兵達を切り刻んでいるじゃないか。自分らの事を棚に上げるなっての。 あー…もうなんかイライラしてきたな。そろそろお仕置きするかな。」 その時、突然戦況に変化が起こった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |