《MUMEI》

「‥‥何してんだよ」

『んなに怒んなよー。ボクチン淋しい』

「切るぞ」

『待て待て!おっまえホント短気だな。かるしゅーむ足りてる?』

「つーか、何でお前がこの番号知ってんの」

「あたしの友達のお兄さんなんだよ。今日友達づたいに聞いたんだー」

横から口を挟む恋人にも聞けるように、一応電話をずらして耳を近付けさせてやる。つーかお前から聞いたんかい。また蠢くナニカ。じんわり。ジェラシー。

『あつしはホント嫉妬深いなぁ』

電話の向こうでこもった笑い声がする。

「うっせぇな、そんなんじゃねぇよ」

そんなんじゃない。
電話の向こうで尚も笑う相手に、横でにやにやと頬をゆるませている恋人に、その言葉はいかほどの効力もない。つーかお前まで笑うなや、恋人さんよ。

『ま、いーや。明日はバイトも休みだろ?ゆったりまったり週末デートでもしてこいや』

「お前に言われる筋合いはねぇよ」

『こら、反抗期。』

「つーか何でお前電話してきたんだ?」

『‥‥ま、美しい姫君のご機嫌うかがいにネ』

その間は何だその間は!

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫