《MUMEI》

下駄箱から教室までのすこしだけ気だるい距離で




とっても多くのことを考えてしまってる









直前になって なにを話したかったかを






忘れてしまいそう








「おはよ」




「うわぁ!」








不意に後ろから声をかけられて、肩をたたかれた






口をおさえてふりむく








高橋君だ






「へんな声」




恥ずかしくなって、自分でも顔があかいのがわかる







「お、おはよう」






すこしの沈黙が すぅっと流れた








「き、教室入ろう」




わたしがたどたどしく笑ってみせると、高橋君はふんわり笑って、うんって言った

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