《MUMEI》

ぼんやりした頭で、そのままドアの鍵をあけて、部屋にはいる。
殴られた頭からは、まだ目にみえない脳漿が溢れてるような気がした。エーテル。

恋人も入ってくる、鞄をおいて、制服を脱ぎにトイレに行こうとする背中に呼びかける。

「・・・・なぁ」

「なに?」

「さっき言ってたことって本当か?」

自分の声とは思えないほど低い俺の声、相当動揺している、カッコ悪ィ。

「何が?」

「しらばっくれんな」

あぁ、ホント腹立つ。
恋人も俺の雰囲気を察したのか、あわててうなずいた。

「ホントだよー。風見くんはただのクラスメイト!」

「・・・・。」

「・・・・それに、さ。彼女いるしね」

「・・・・。」

「泣いてたとかゆーのも、ほんと2、3回だもん!」

その2、3回すら俺には見せてねぇじゃねぇか。

沈黙を嫌う習性を応用、くだらないことだけはよく知っている。

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