《MUMEI》

家族皆で話していた。

兄と父と仲良くしたくて何度も話題に入ろうとしたけどやっぱり駄目だった。


そんな私を見た母は、呆れていた。


「ナカ、どうして声を出さないの?理由があるなら言いなさい」

ため息混じりに言われ、怒ってることがすぐにわかった。けど、やっぱり声を出すのを躊躇ってしまい、母が本気で怒りを露にしそうになったとき、兄が驚くべきことを言い放った。


「美世さん、ナカちゃんのことは俺に任せて下さい。同年代の……年の近い人間には心を開いてくれるかもしれないし」

え……!?いきなり何言ってるの?


「そうね、久喜くんなら安心だわ。ナカのことよろしくね」

待って、お母さんまで……


「じゃあ若い者同士話し合うと良い。気が合うかもしれないしな」

お義父さんまで……っ


「とか言って、美世さんと二人きりになりたいだけだろ?」

「あはは、ばれたか」

「もう、吉晴さんたら!あ、ナカの部屋使って良いわよ」

「有り難うございます。行こ、ナカちゃん」


久喜さんはさりげなく私の手を引いて部屋へと向かった。


な、なんでいきなりこんなことに……?

お母さんも、私が会ったばかりの人に私を任せないでほしい……声を出さない私がいけないんだけど。

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