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《MUMEI》 野蛮な隣人 １０あまりにも酷過ぎる。全裸を晒すだけでも死ぬほど恥ずかしいのに、マッサージ機が股を直撃し、昇天寸前に追い込まれる。 「イヤ・・・」 千香は泣いた。頭の中が真っ白だ。とても現実の出来事とは思えなかった。耐えきれない快感に腰をくねらせ、激しくもがく。 こんな恥ずかしい姿を大勢の人に見られている。考えられない。 「ヤダ・・・絶対イヤ」 それだけは、それだけは、耐えるしかない。全裸を見られるのも恥辱だが、イク瞬間という女にとってこれ以上ない恥ずかしい姿だけは、絶対に晒したくない。 「くううううう・・・」 千香は必死に耐えた。だが肉体は敏感に反応してしまう。 「あ、くっ・・・嘘、どうしようダメ！」 耐えられない。絶体絶命の大ピンチだ。 「嘘ダメ、ヤダヤダヤダヤダヤダ・・・ああああああああああん！ あっ・・・・・・」 人生終わったかもしれない。昇天してしまった。千香は沈んだ表情で横を向き、両目から涙を溢れさせた。 岡田が戻ってきた。マッサージ機を彼女の股から離すと、意気消沈する千香をながめながら、ベッドを押して元のマッサージルームに戻る。 千香は両目を真っ赤に腫らし、唇を噛んでいた。悔しいけど手足を拘束されている間は逆らわないほうがいい。何をするかわからないイカれた男だ。 「千香。赤っ恥かいちゃったな。恥ずかしかったか？」 「・・・・・・」 「シカトするなら、もっと恥ずかしい目に遭わすよ」 「待って」 これ以上恥ずかしい目に遭わされたら生きていけない。 「岡田さん」 「何だ？」 「あたし、女ですよ」千香は泣き声で話した。「酷過ぎます。あんなことされたら、たまらないわ。写真撮られてたらどうするんですか？」 「写真撮られたら、ゆすられちゃうな」 これだけ残酷なことをしておいて、所詮他人事か。千香は身じろぎしながら言った。 「もういいでしょう。ほどいてください。お願いします」 「ほどいたら警察直行だろうな」 「行きません」千香は真剣に訴えた。「それは信じてください。警察には行きませんから」 「普通行くだろう。ここまでされたら」 千香は赤面しながら囁いた。 「主人には知られたくないから」 「そっか。告訴したら全部知られちゃうからな」 岡田は千香のおなかを触り、迫った。 「千香。また会ってくれると約束するなら、きょうはこれで勘弁してあげるよ、どうする？」 「会います」千香は即答した。 「嘘がヘタだな」 「嘘じゃありません。今すぐに解放してくれたら、また会います。誘ってください」 千香の必死さがかわいい。岡田は用意周到だ。 「じゃあ、メルアドと電話番号を教えな。嘘ついたら全裸のまま手足縛って交差点に転がすよ」 そんなことされたら本当に人生終わりだ。千香は正直に連絡先を教えるしかなかった。 約束通り手足をほどかれた。千香は水着を返してもらい、身につけると、聞いた。 「帰っていいですか？」 「誘うから。断ったら交差点だよ」 「・・・はい」 何とか解放された。本当に酷い目に遭った。しかし、彼女は自分に驚いていた。全裸で晒し者にされたのだ。しかもマッサージ機でイカされてしまった瞬間を大勢の人間に見られてしまったのだ。それにしては、ショックが小さい。 普通なら立ち直れないだろう。主婦だから？ 嫁入り前の娘なら自殺を考えているか。いや、いくら主婦でも女だ。あんな目に遭ったら終わってしまう。 「あたし・・・おかしいのかな？」 そういえば岡田が変なことを言っていた。自分の体を夫以外の人に見せたい。恥ずかしい姿を見られたい。 「そんな願望はないわ」 彼女は口に出して否定した。興奮なんかしていない。ただただ、恥ずかしかっただけ。何度も自分に言い聞かせ、自分を納得させようと務めたが、全裸にされた時、官能的なスリルと興奮を感じたような気もしてきた。 その感情がショックを和らげたとしたら、一種の防衛本能か。 「あああ、わかんない！」 千香は激しく首を左右に振ると、思考を断ち切った。 前へ |次へ |
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