《MUMEI》 露出願望 6千香は緊張した面持ちで服を脱ぎ、全裸になる。このドキドキ感は嫌いではない。でも本当にレイプされちゃうのは困る。そこはわかってほしいが、そんな都合のいい男もいない。 Mの女性は、非日常のハラハラドキドキが味わいたいだけで、夫でも彼氏でもない男に犯されたいとは微塵も思っていない。ただ、危険なスリルを体感できるのは、彼氏や夫よりも、「間違いを起こしてはいけない男」なのだ。 間違いを起こしてはいけない相手と二人きりでホテルに入るのは、凄く緊張する。ましてやシャワーを浴びる行為は、ハラハラドキドキが止まらない。 「変なことされたらどうしよう?」「犯されたらどうしよう?」という感覚は、Mの女性にとってはたまらない。たとえば彼氏でもない男の友達の部屋に一人で遊びに行き、シャワーを浴びる。これは究極のスリルを味わえる火遊びだ。 ただ、そんなMの微妙な感覚を熟知しているのは、常にSMが念頭にある「紳士なS」だけで、普通の男性なら、シャワーを浴びると言った時点で、抱かれてもOKと取ってしまう。スリリングなゲームは危険も大きい。 千香はバスルームから出てきた。本当に浴衣ではなく、バスタオル一枚のほうが安全なのか。 「怖い」 真壁万勢はもちろん、間違いを起こしてはいけない相手だ。その男の前にバスタオル一枚の姿を晒す。これはかなり危険な行為だ。 「ヤダ・・・怖い」 しかも酔っぱらっているし、もともと野蛮な性格だ。でも、命の恩人であることも事実。千香はすました顔で部屋に戻った。 「おっと」 真壁が目を丸くする。白いバスタオルを体に巻いただけの千香。美しい。タオルの下は生まれたままの姿か。真壁は興奮すると、立ち上がった。 「かわいい」 「イヤ・・・」 千香は引きつった笑顔で逃げようとしたが、腕をつかまれた。 「さあ、こっち来い。一緒に飲もうぜ」 「真壁さん、信用して言うこと聞いたんですからね、ダメですよ」 「わかってるよ」 千香をすわらせると、グラスにビールを注いだ。 「さあ、飲め。ちゃんと眠り薬を入れといたから」 「アハハハ」 千香は真壁を信じて一気に飲みほした。ちょうど喉が渇いていたのだ。 「おいしい」 「もう一杯行こうぜ」 「酔い潰し作戦ですか?」 「もちろん」 千香は二杯目をふた口だけ飲むと、グラスをテーブルに置いた。 「千香。おまえほどイイ女は見たことねえよ」 「よく言うよ」 おまえ呼ばわりをされるのは嫌いな千香だったが、怖いから言えない。 「千香。ちょっとマッサージしてやろうか?」 「お断りします」 「あ、どさくさに紛れて俺が変なところ触ると疑ってるな?」 「はい」 真壁は怒ったふりをして千香を抱き上げる。 「テメー!」 「きゃあああああ!」 そのままベッドに仰向けに寝かせると、真壁は彼女の上に乗っかった。 「いやあああ!」 バスタオル一枚の姿で男に上に乗られる。これはたまらない緊張感だ。 「待って、待って」 「じゃあ、俺のマッサージを受けるか?」 「受けます」そう言うしかなかった。 真壁の顔が赤い。酔っている。つまり危ないということだ。 「よし、千香。うつ伏せになりな」 千香は言われた通りうつ伏せになった。半ばスリルを楽しんでいる部分もあるが、レイプだけは絶対に避けたいので警戒していた。 「あああ・・・」 バスタオル一枚でうつ伏せになり、好きでもない男にお尻に乗られ、指圧マッサージ。これは怖い。女の子にとってこれは緊張する。 「んんん」 前へ |次へ |
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