《MUMEI》 とりあえず、階段をかけあがってきたらしい友人を中に入れてやる。どうやらバイクをとばしてきたようだ、Tシャツにジャケットじゃそりゃ寒いわ。 俺はジャージ姿のままベッドに座った。友人も勝手知ったる何とやらで、適当なクッションの上に座る。 「あら〜、相当病んでんだなぁ」 ベッドの脇においてある山盛りになった灰皿を見て、友人は言った。 「控えてたんじゃなかったっけ?」 「それはアイツがいたからだ。いなくなったんだから、もう別に気ィ遣う必要ねぇだろ」 「それだよ。つーかさ、本当に別れたの?」 「‥‥まーな」 俺は俯く。 「ふーん」 反応薄ッッ! 友人は胡坐をかいた姿勢でゆらゆらと左右に揺れていた。ハタチ前の男がすることじゃないからねソレ、そしてサボり目的確定だよねお前。 あまりにテキトーな友人にちょっと殺意。 「ま、あつしが晴香ちゃんをフるなんてことないだろうしね。で、晴香ちゃんになんて言われたの?」 「‥‥特に何も」 「は?」 前へ |次へ |
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