《MUMEI》
露出願望 12
千香は「ハッ」として目を覚ました。まだ全裸のまま手足を縛られている。

「あたし?」

「お目覚めかな、花嫁さん」

真壁が上に乗っている。千香は弱気な顔で言った。

「あたし、どれくらい寝てました?」

「結構長い間寝てたぜ。心配しなくても大丈夫だ。千香が眠っている間、三回ナマで犯したから」

「え?」彼女は耳を疑った。

「もちろん中に出しだぞ。大丈夫だ。俺が花嫁にもらってあげるから」

千香は目を見開くと、真壁を軽蔑の眼で見た。

「何てことするの」

「バカ、嘘だよ。眠っている間は何もしてねえよ」

「何だ、もう」千香は泣き顔で唇を尖らせた。

「本気にしたか。ナマで犯されちゃったかと思ったか?」

「やめて」

真壁はしつこい。

「千香。犯されてイカされて失神しちまったらよう。これは俺に身も心も支配されたことになるか?」

返答を間違えると、ナマで犯されてしまいかねない。

「支配? 支配されるのは悔しいですね」

「どうなんだ?」

「男の人って、女を征服したい願望、ありますよね」

「もちろんあるぜ。千香みたいな惚れた女は征服したいと前から思ってたぜ。で、どうなんだ?」

千香はわざと甘い顔をすると、囁いた。

「女として、あなたに完敗したことは認めます」

「マジか?」

「ホントに容赦ないんですね」

「容赦なんかしねえよ」

真壁は目をギラギラさせて千香を見た。

「ほどいてくれますか?」

「また会えるか?」

「はい」

「絶対嘘だな」

「嘘じゃありません」

真壁は迷った。このままナマで犯して既成事実をつくりたい気もするが、卑怯な気もする。

「千香。手足を縛られたまま、屈強な男に犯されたいっていう願望はあっただろう?」

「少し、あったかも」

「裸を見られたいという願望はどうだ?」

千香は顔を紅潮させた。

「あ、それは、あるかも」

素直に答える千香に、真壁は許す気持ちが芽生えてくる。

「かわいいな。まさかこの俺に虜にされたか?」

虜になどされていない。しかし、そういう風に思わせておいたほうが安全だ。千香は答えた。

「サボテンは卑怯よ」

「ハハハ!」

真壁は、千香の手足をほどいた。ようやく解放される。しかし、ホテルを無事に出るまでは油断禁物だ。無事とも言えないか。主婦が夫以外の男に犯されてイカされて失神してしまったのだ。

二人はシャワーを浴びて、もう一度ビールを飲みながら少し話してから、ホテルを出た。

「千香。また誘うぜ。逃げたら夜這いプレイだからな」

「やめて」

今後どうなるのか。真壁が自分のことを本気で好きなのはわかる。ただ体が目的なら、もっと酷いことをされていただろう。ところどころ言うことを聞いてくれたのは、やはり惚れているからだ。

千香は不安だった。一歩間違えたら離婚。身の破滅の危機。炎の綱渡りだ。真壁に強引に奪われるのか。それは困る。屈服したことは認めるが、結婚相手としては考えられない。

結局支配されたのは肉体だけで、心までは支配されていなかった。

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