《MUMEI》 SMホテル 4小田切は笑いながら静かな廊下を歩く。千香も大きい声は出せない。人が出てきたら恥ずかしい。 「お願いやめて、やめてください」 「やめないよ」 エレベーターの前に千香を置くと、小田切はバスタオルをつかむ。 「やめて、それだけはやめて・・・きゃっ」 バスタオルを取られた。全裸にされた千香は顔が真っ赤だ。 「お願い、やめて」 小田切は改めて千香の裸を見た。こんなに間近で見るのは初めてだ。身じろぎする姿がたまらなくセクシーに映る。小田切は興奮した。 「千香。じゃあな」 ポンとおなかを叩くと、小田切は階段を下りていく。千香は懇願した。 「待って、待って、何でも言うこと聞くから、好きにしていいから!」 しかし小田切は行ってしまった。やられた。罠だったか。レイプよりもこれが目的だったのか。全裸で手足を縛られたまま置き去りにされたら、女はどうにもならない。 ここはSMホテルだから、おそらく変態プレイだと誤解されてしまう。彼女は一方的にやられたから何も悪くないが、人はそうは見ないだろう。 はしたない女。変態娘と見られるに決まっている。それは悔しいし、恥辱だ。 エレベーターが動き出した。 「いやあああ・・・」 千香は泣き顔で必死に手ぬぐいをほどこうとするが、びくともしない。こんな恥ずかしい姿をカップルに見られたらたまらない。何とか起き上がろうとするが、両手両足を縛られたら、立ち上がることはできない。 「イヤ・・・絶対イヤ」千香は激しくもがいた。 無情にもエレベーターは三階で止まった。 「ヤダ・・・」 ドアが開く。千香は真っ赤な顔をして両目を閉じ、横を向いた。 「んんんんん・・・」 人の気配がする。とりあえず事情を話してほどいてもらうしかないが、ただじっと見ているだけで何も言わない。それも怖い。千香は恐る恐る目を開けた。小田切だった。 「嘘・・・」 「ハハハ。死ぬほどのハラハラドキドキを体感できただろう」 千香は脱力した。汗びっしょりだ。 「はあ、はあ、はあ・・・」 「でもこういうの好きだろ?」 「好きじゃありません」 小田切は笑顔で迫る。 「千香。さっき、何でも言うこと聞くとか、好きにしてもいいからって言ったよな?」 千香が無言でいると、小田切がまた帰ろうとする。 「言いました! 言いました!」 「よーし」 小田切は千香を軽々抱き上げると、また聞く。 「好きにしていいからって、千香の体を好きにしてもいいって意味?」 全裸のまま置き去りのほうが嫌だ。千香は観念するように頷いた。 「嘘、諦めちゃうの?」小田切は無責任に笑う。 「恥をかくほうが嫌です」 「そういうもんか。じゃあ部屋に戻ろうか」 部屋に戻ると、小田切は千香をベッドに静かに下ろした。行為は野蛮だが、扱いは紳士的だ。 「千香。拷問ごっことセックスとどっちがいい?」 究極の選択だ。拷問ごっこはセックスがないのだろう。しかし、何をされるかわからない。 「拷問? 痛い目に遭わすの?」 「痛いのは嫌いか?」 「嫌いです」 「じゃあ、セックスだな」 小田切が胸やおなかを触りまくり、股を弄る。 「あ、待って」 「何だ?」 「拷問ごっこって、そんな酷いことはしませんよね?」 「もちろん」 犯されたら終わりだ。拷問ごっことは、何をされるかわからないが、岡田と真壁にもかなり酷いことをされたのだ。以前のただの主婦とは違う。千香はレイプされないほうを選んだ。 前へ |次へ |
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